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国際利用航空運送約款

SGH グローバル・ジャパン株式会社
平成27年1月20日

第一章総則

(事業の種類)

第一条

当社は、航空運送事業者(航空法(昭和二十七年法律第二百三十一号)第二条第十八項に規定する航空運送事業を経営する者をいう。)が行う貨物の国際運送又は当該運送を利用して貨物利用運送事業者が行う貨物の国際運送に係る次の貨物利用運送事業を行う。

  1. 第一種貨物利用運送事業(貨物利用運送事業法(平成元年法律第八十二号)第二条第七項に規定する事業をいう。)
  2. 第二種貨物利用運送事業(同法同条第八項に規定する事業をいう。)

(定 義)

第二条

  1. この約款において「国際運送」とは、条約が適用される場合にあっては、条約の定義に従い、それ以外の場合にあっては、航空運送契約による出発地及び到達地が本邦及び外国である運送をいう。この場合において、「国」とはその主権、宗主権、委任統治、権力、又は信託統治の下にある全領域を含むものとする。
  2. この約款において「運送人」とは、航空運送状を発行し、貨物の利用運送を行う者をいい、この約款又は航空運送状に規定されている責任を制限する規定の適用については、運送人には、これらの者の代理人、使用人及び代表者を含むものとする。
  3. この約款において「航空運送状」とは、荷送人により又は荷送人に代わり作成される荷送人と運送人の間の貨物の国際運送に関する契約を証する書類をいう。
  4. この約款において「荷送人」とは、貨物の国際運送に関して運送人と契約を締結した当事者として航空運送状にその名称が記載されているものをいう。
  5. この約款において「荷受人」とは、運送人が貨物を引き渡すべき当事者として航空運送状にその名称が記載されているものをいう。
  6. この約款において「貨物」とは、運送人により一荷送人から一時に一ヶ所で受託され、一口として扱われ、一到達地の一荷受人にあてて、一通の航空運送状で運送される一個又は数個の物品をいう。
  7. この約款において「条約」とは、千九百二十九年十月十二日にワルソーで署名された「国際航空運送についてのある規則の統一に関する条約」(以下「ワルソー条約」という。)、千九百五十五年九月二十八日にヘーグで署名された「千九百二十九年十月十二日にワルソーで署名された国際航空運送についてのある規則の統一に関する条約を改正する議定書」により改正されたワルソー条約(以下「改正ワルソー条約」という。)、千九百七十五年九月二十五日にモントリオールで署名された「千九百五十五年九月二十八日にヘーグで作成された議定書により改正された千九百二十九年十月十二日にワルソーで署名された国際航空運送についてのある規則の統一に関する条約を改正するモントリオール第四議定書」により改正された改正ワルソー条約(以下「モントリオール第四議定書」という。)又は千九百九十九年五月二十八日にモントリオールで署名された「国際航空運送についてのある規則の統一に関する条約」(以下「モントリオール条約」という。)のうちいずれか適用のあるものをいう。
  8. この約款において「集貨」とは、仕立地等の発地点から出発地空港までの貨物の運送をいう。
  9. この約款において「配達」とは、到達地空港から荷受人若しくはその指定する代理人の住所又は必要に応じ関係政府機関の保管所までの貨物の運送をいう。
    この約款において「特別引出権」とは、国際通貨基金の定める特別引出権(スペシャルドローイングライト/SDR)をいう。

第二章航空運送状の作成

(荷送人による準備)

第三条

  1. 荷送人は、運送人の定める様式、方法及び枚数で作成した航空運送状を貨物の引渡しと同時に運送人に引き渡すものとする。ただし、運賃、料金その他の費用は確定している限り、運送人が航空運送状に記載するものとする。

(貨物の外観)

第四条

  1. 貨物又は貨物の梱包の外観が良好でない場合は、荷送人は、その外観を航空運送状に記載するものとする。ただし、荷送人がそれを記載しない場合又はその記載が不正確である場合は、運送人は、当該運送状に記載し又は訂正をすることができる。

(運送人による準備、補完又は訂正)

第五条

  1. 運送人は荷送人の求めに応じ航空運送状を作成することができる。
  2. 貨物とともに引き渡された航空運送状に必要事項の記載が欠けている場合又は誤りがある場合は、運送人は、補完又は訂正をすることができる。ただし、その義務を負うものではない。

(記載事項に関する責任)

第六条

  1. 荷送人が航空運送状に記載し又は荷送人に代わって荷送人の申告に基づき運送人が記載した事項が正確かつ完全であることに関して、荷送人は運送人に対して責任を負う。前条の規定に従って運送人が荷送人に代わって航空運送状を作成し又は補完した場合は、荷送人は、運送人が航空運送状記載事項の不適当、不正確又は不完全のために被ったすべての損害について責任を負うものとする。

第三章運送の申込み及び引受け

(運送に対する申告価額)

第七条

  1. 荷送人は、価額に基づく料金が課せられると否とにかかわらず、すべての貨物について航空運送状により運送に対する価額の申告をしなければならない。この場合において「申告価額なし」も一種の価額の申告であるものとする。
  2. 貨物の航空運送状の運送に対する申告価額が、十万米ドル又はその相当額を超える場合には、運送人は、荷送人とあらかじめ特約をしない限り、その貨物を受託しない。

(貨物の点検)

第八条

  1. 運送人は、すべての貨物の内容品を点検することができる。ただし、その義務を負うものではない。

(梱包方法及び荷印)

第九条

  1. 荷送人は、貨物が、通常の注意による取扱いにより、完全に運送され、かつ、人員に危害を加えず、他の財物に損害を与えることのないよう貨物を梱包しなければならない。
  2. 荷送人は、各梱包には、荷送人及び荷受人の住所及び氏名又は各梱包を特定するための荷印を明瞭にかつ消えないように記さなければならない。
  3. 荷送人は、ガラス製品その他の損壊しやすいもの又はあらゆる種類の液体を内容品とする梱包は、その内容品の性質を梱包の外側に明瞭に大書しなければならない。
  4. 荷送人は、気温又は気圧の高低又はその急激な変化によって損害を被りやすい貨物は、適切な梱包方法その他必要な手段で十分に保護しなければならない。
  5. 運送人は、貨物の梱包が十分でない場合は、荷送人に必要な梱包を要求することができる。

(生動物の受託制限)

第十条

  1. 生動物は、荷送人があらかじめその旨を明告するとともに、品目及び性状その他必要な事項を航空運送状及び国際航空運送協会の生動物規則で定める生動物証明書に記載し、かつ、当該規則に定める梱包方法その他必要な手段を講じた場合に限り、受託することができる。 ただし、当該規則に定める運航者例外規定(運送人が利用する航空運送事業者に係るものに限る。以下同じ。)により受託を禁止しているときは、受託しない。

(危険品の受託制限)

第十条の二

  1. 次の各号に掲げる危険品は、荷送人があらかじめその旨を明告するとともに、品目及び性状その他必要な事項を航空運送状及び国際航空運送協会の危険品規則で定める危険物申告書に記載し、かつ、当該規則に定める梱包方法その他必要な手段を講じた場合に限り、受託することができる。ただし、当該規則に定める運航者例外規定により受託を禁止しているときは、受託しない。
    1. 火薬類
    2. ガス(高圧ガス、液化ガス、溶解ガス、深冷ガス)
    3. 引火性液体
    4. 可燃性固体、自然発火性物質、水との接触により引火性気体を発生する物質
    5. 酸化性物質、有機過酸化物
    6. 毒物及び病毒を移しやすい物質
    7. 放射性物質
    8. 腐食性物質
    9. その他の有害物品(磁性物質、麻酔性、有毒性、あるいは他の類似な性質をもった液体又は固体で旅客又は運航乗務員に対し極度の不快感を与える物質)

(その他の受託制限)

第十条の三

  1. 次の各号に掲げる物品は、荷送人があらかじめその旨を明告するとともに、品目及び性状その他必要な事項を航空運送状に記載し、かつ、国際航空運送協会の貨物取扱マニュアルに定める梱包方法その他必要な手段を講じた場合に限り、受託することができる。ただし、当該マニュアルに定める運航者例外規定により受託を禁止しているときは、受託しない。
    1. 貴重品(次に掲げる品目のいずれかを含むものをいう。)
      1. 運送に対する申告価額が一キログラム当たり千米ドルまたは相当額以
      2. 金、白金その他の貴金属及びその製品であって国際航空運送協会の規則で貴重品と定められたもの(金又は白金のメッキ製品を除く。)
      3. 紙幣、硬貨、有価証券、旅行者用小切手、切手、使用可能な状態の銀行カード又はクレジットカード
      4. ダイヤモンド(工業用ダイヤモンドを含む。)、ルビー、エメラルド、サファイア、オパール、真珠(養殖真珠を含む。)及びこれらからなる宝飾品
      5. 金、銀又は白金からなる宝飾品
    2. 信書又は現行法で信書と定義された通信手段
    3. 遺体又は遺骨
    4. 変質、腐敗しやすいもの

(受託しない物品)

第十条の四

  1. 運送又は輸出入が出発国、到達国、経由国又は通過国の法令又は規則により禁止されている物品、その他運送人が運送に不適当と認める物品は受託しない。

第十一条

  1. 明告等第十条、第十条の二若しくは第十条の三の規定により荷送人が行う事項が不実、不正確若しくは不完全であった場合又は運送人が第十条の四に掲げる物品と知らずに運送を引き受けた場合は、貨物に関する責任はその貨物の荷送人及び荷受人にあり、それらの者は連帯してその貨物により運送人が被る破壊、滅失、き損、遅延、責任又は科料に関し運送人に対して補償しなければならない。

第四章運賃、料金等

(収受する運賃、料金等)

第十二条

  1. 運送人は、運賃表に定める運賃、料金その他の費用を収受する。
  2. 個人(事業として又は事業のために運送契約の当事者となる者を対象とするものを除く。)を対象とした運賃、料金その他の費用は、主たる事務所その他の営業所において公示するものとする。

(運賃着払による貨物の受託)

第十三条

  1. 運送人は、運賃、料金その他の費用を着払で貨物を受託することができる。
  2. 前項の規定にかかわらず、次に掲げる貨物については着払による運送を取り扱わないことができる。
    1. 自由を拘束されている者にあてる貨物
    2. 政府機関にあてる貨物(政府機関がしかるべき証明書類を呈示して発送する場合を除く。)
    3. 物品価額がその運賃及び料金より低い貨物
    4. 到達国の通貨規則又は航空運送に関する規則が着払による貨物の引渡しを認めない国にあてる貨物
    5. 引越荷物、別送手荷物及び個人用品
    6. その他運送人が運賃、料金その他の費用を着払とすることが不適当と認める貨物

(運賃、料金等の支払)

第十四条

  1. 運賃、料金その他の費用の支払は、運賃表に定める通貨で行われるものとする。ただし、運賃、料金その他の費用が着払の場合にあっては、運送人が別に支払通貨を定めることができる。
  2. 特約のある場合を除き、すべての運賃、料金その他の費用は、元払の場合にあっては、運送人がその航空運送状と貨物を受け取ったときに、着払の場合にあっては、運送人がその航空運送状を荷受人又はその指定代理人に引き渡すときに、運送人に対し、現金又は運送人の指定した支払手段により支払われるものとする。
  3. 運賃、料金その他の費用の着払の取扱いをした貨物について、荷受人がその支払を行わない場合は、荷送人は当該運賃、料金その他の費用の支払の義務を負うものとし、支払が行われない限り、運送人は、貨物の引渡しをしないものとする。
  4. 荷送人は、未払いの運賃、料金その他の費用、運送人の立替金及び次に掲げる事由により運送人が支払った経費、支出、罰金、科料その他の金銭又は被った時間の空費その他の損害のすべてにつき、運送人に保証するものとする。
    1. 法令により運送が禁止されている物品の貨物への包含
    2. 荷印、荷番号、あて名、貨物又は貨物の梱包の表示の不適法、不正確又は不備
    3. 輸出入許可書又は必要な証明書その他の書類の不備又は遅延
    4. 税関に対する不適正な申告
    5. 貨物の重量又は容積についての不正確な記載
  5. 運送人は、前項のいずれの場合でも、貨物に対し留置権を有し、その運賃、料金その他の費用の支払がないときには、貨物を競売又は任意売却に付し、かつ、その金額の全部又は一部をその売却代金より受領する権利を有するものとする。ただし、売却に付す前に、運送人は航空運送状に記載した住所の荷送人又は荷受人にその旨の通知をするものとする。
  6. 前項の売却は、売却代金により充当しても不足する額についての荷送人及び荷受人の支払債務を免除するものではない。
  7. 第五項の運送人の権利は、貨物の引渡し、占有放棄又は現実の支払がなされない限り支払の確認によって、影響され、喪失し又は害されるものではない。
  8. 運賃、料金その他の費用、公租及び公課、運送人が支出した支払金その他の運送人に支払われるべきすべての金額は貨物の破壊、滅失、紛失、き損又は不着にかかわらず、その全額が支払われなければならない。
  9. 運送人は、貨物の破壊、滅失、紛失又はき損に関する損害賠償請求をすべての運賃、料金その他の費用の支払がなければ受け付けない。ただし、貨物のどの部分も引き渡されていない場合には、運賃、料金その他の費用が未払であっても損害賠償請求を受け付ける。
    荷送人又は荷受人は、損害賠償請求額を運賃、料金その他の費用の金額から差し引くことはできない。

(運賃料金着払取扱手数料)

第十五条

  1. 運送人は、運賃、料金その他の費用が着払の場合には、運賃表に定める運賃料金着払取扱手数料を収受する。

(従価料金)

第十六条

  1. 運送人は、荷送人の運送に対する申告価額が運賃表に定める価額を超える場合には、運賃表に定める従価料金を収受する。

(航空運送状作成手数料)

第十七条

  1. 運送人は、航空運送状を作成し又は補完する場合には、運賃表に定める航空運送状作成手数料を収受する。

(附帯料金等)

第十八条

  1. 運送人が、貨物利用運送事業に附帯して行う貨物の荷造り、保管又は仕分け、代金の取立て及び立替えその他の貨物利用運送事業に附帯する業務等を引き受けた場合には、当該業務に係る料金を収受する。
  2. 運送人が、運送保険契約の締結を引き受けた場合には、当該保険に係る保険料を収受する。

(準用規定)

  1. 第十八条の二 第十二条第二項の規定は、第十五条から第十八条までの場合について準用する。

第五章運送中の貨物

(法令の遵守)

第十九条

  1. 荷送人は貨物の梱包方法、運送又は引渡しに関する法令並びに出発国、到達国、経由国及び上空通過国のすべての現行法令(税関その他の関係行政庁の規則を含む。)を遵守し、かつ、その法令を遵守するために必要とされる情報及び書類を提供し又は航空運送状に添付するものとする。
  2. 運送人は、荷送人の情報又は書類が正確かつ充分であることを調べる義務はなく、荷送人が前項の義務を遵守しなかったために生ずる損失又は諸費用については、荷送人その他の者に対して責任を負わないものとする。
  3. 運送人が、現行法令、規則、命令、要求又は要請と解するものにより、貨物の運送を拒絶する必要があると合理的に判断し、当該貨物の運送を現実に拒絶した場合においては、運送人は、なんら責任を負わないものとする。

(諸費用の支払及び税関の諸手続)

第二十条

  1. 運送人は、貨物に関する公租、公課その他の費用を立替え又は支払をすることができるが、その義務はない。荷送人及び荷受人は連帯してこのような費用を運送人に償還する責任を負う。
  2. 貨物の通関手続を必要とする場合には、貨物は航空運送状に通関業者として記載された者にあてたものとみなし、当該記載がないときは、運送人又はその指名する通関業者にあてたものとみなす。

(経由路線、運送予定等)

第二十一条

  1. 運送の開始若しくは完了又は貨物の引渡しについては日時を定めない。
  2. 運送人は、航空運送状に記載された場合であっても、特定の航空機若しくは特定の経路により貨物を運送し、又は特定の運送予定に従い、特定の地点で接続する義務を負うものではない。
  3. 運送人は、運送区間の一部につき、航空運送事業者の行う貨物の運送以外の運送を利用して運送することができる。

(運送の取消し)

第二十二条

  1. 運送人は、次に掲げる事由により、合理的であり、かつ、望ましいと考える場合は、予告なしに貨物の運送を取り消し、打ち切り、方向を転じ、延期し又は遅延させることができる。
    1. 現実であると脅威であると情報によるものであるとを問わず、運送人の力が及ばない事実(気象状態、天災、不可抗力、罷業、内乱、抑留、徴発、戦争、敵対行為、社会不安又は不安定な国際情勢を含む。)又は直接若しくは間接にこのような事実に基づく遅延、要求、状態、環境若しくは命令
    2. 予測、予知又は予報できない事実
    3. 政府の規則、命令、要求又は要請
    4. 運送人その他の者の労力、燃料、施設の不足又は労働争議
  2. 運送人が請求した運賃及び料金の全部又は一部の支払を荷送人が拒絶した場合、運送人は、なんら責任を負うことなく運送を取り消すことができる。

(運送中の物品に関する運送人の権利)

第二十三条

  1. 運送人は、貨物を留置する必要があると判断した場合は、その旨を航空運送状に記載した荷送人又は荷受人に通知し、荷送人又は荷受人の危険及び費用の負担において、倉庫その他の適当な場所又は税関に貨物を保管することができ、かつ、荷受人にあてる前途の運送のために他の運送機関に貨物を引き渡すことができる。この場合において荷送人及び荷受人は、その結果により運送人が被った危険及び費用に関し、連帯して責任を負い、かつ、弁償するものとする。

第六章荷送人の処分権

(処分権の行使)

第二十四条

  1. 荷送人又はその指定代理人は貨物の処分権を行使することができる。この場合において、その処分権は単一の航空運送状による貨物のすべてに対して行使されなければならない。
  2. 貨物に対する処分権は、荷送人又はその指定代理人が交付を受けた航空運送状を呈示して行使しなければならない。
  3. 処分に関する指図は、運送人が定めた様式の書面に記載して提出しなければならない。
  4. 処分権の行使によって変更された荷受人は、航空運送状の荷受人とみなされる。

(荷送人の選択権)

第二十五条

  1. 運送契約に基づくすべての債務を履行すること及び運送人又は他の荷送人を害しないような方法でこの処分権を行使することを条件として、荷送人は次のいずれかの方法によって貨物を処分することができる。
    1. 出発地空港又は到達地空港において、貨物の返還を受けること
    2. 到達地において航空運送状に記載した荷受人以外の者に貨物を引き渡すよう求めること
    3. 出発地空港に貨物の返送を求めること

(処分権の行使による損失、費用等)

第二十六条

  1. 荷送人はその処分権の行使の結果、運送人が被ったすべての損失及び損害に対して責任を負い、かつ、弁償しなければならない。
  2. 荷送人は、その処分権の行使によって生じた費用を運送人に支払わなければならない。

(運送人の履行不能)

第二十七条

  1. 運送人は荷送人の指示に従うことが正当な理由により不可能と判断した場合は、荷送人の当該処分権の行使を拒絶することができる。この場合には、運送人は、その旨をただちに、荷送人に通知し、通知に要した費用は、料金に加算する。

(処分権行使の権利の終期)

第二十八条

  1. 荷送人の処分権は、到達地に貨物が到着後、荷受人が貨物若しくは航空運送状を入手し、それらの引渡しを請求し、又は貨物の引取りの意思表示をした時に消滅する。ただし、荷受人が航空運送状若しくは貨物の受領を拒んだ場合又は荷受人に連絡不能の場合は、その処分権は、引き続き荷送人にあるものとする。

第七章貨物の引渡し

(到着通知)

第二十九条

  1. 運送人は、航空運送状に記載された荷受人又は通知先に貨物の到着通知を通常の方法で行う。
  2. 運送人は、到着通知が受信されなかったこと又はその受信が遅延したことについての責任を負わない。

(荷受人に対する貨物の引渡し)

第三十条

  1. 運送人は、航空運送状に特に記載されている場合を除き、航空運送状に記載された荷受人に貨物を引き渡すものとする。
  2. 貨物の引渡しは、荷受人の受領証と引き換えに、かつ、航空運送状及びこの約款のすべての適用条項に従って行われるものとする。
  3. 貨物が法律又は税関の規則に従って、税関その他の政府機関に引き渡された場合において、運送人が荷受人に蔵置解除を受けるための証明書を与え、かつ、前条に定める到着通知を発送したときは、荷受人に対する貨物の引渡しは完了したものとする。
  4. 前条の到着通知が受領され、荷受人が引取りの意思表示をした場合において、荷受人が貨物の受領を行わないときは、運送人は、荷受人の負担において貨物を保管する権利を有する。この場合、貨物に対する運送人の責任は終了し、これらの保管に要する費用は運送人の請求により支払われなければならない。

(貨物の引渡し場所)

第三十一条

  1. 荷受人は、到達地空港で貨物の引渡しを受け、これを引き取らなければならない。ただし、運送人が、荷送人又は荷受人との契約により荷受人の住所までの配達を行うときは、この限りでない。

(荷受人の受領不能)

第三十二条

  1. 航空運送状記載の到達地に到着後、引渡し不能又は荷受人の引取り拒絶が生じた場合には、運送人は当該運送状に記載された荷送人の指図に従うものとする。
  2. 荷送人の指図が記載されていない場合又は正当な理由によりその指図に従うことができない場合は、運送人は、引渡しができない旨を荷送人に通知した後、荷送人の指図を求め、当該指図が三十日以内に得られなかったときには、貨物を一括して又は数口に分け競売又は任意売却に付し、処分することができる。ただし、売却等に先だって運送人は航空運送状に記載された住所にある荷送人又は荷受人に、これに関する通知をするものとする。
  3. 荷送人は、荷受人の受領不能に起因し、又はこれに関連するすべての運賃、料金その他の費用(貨物の返送運賃、料金を含む。)を支払う責任を負うものとする。貨物が荷送人の指図により出発地空港に返送され、かつ、荷送人が貨物の返送後十五日以内に運賃、料金その他の費用の支払を拒絶し、又は怠る場合には、運送人は、貨物の全部又は一部を競売又は任意売却に付し、処分することができる。ただし、売却等に先立って、運送人は航空運送状に記載された荷送人に、これに関する通知をするものとする。
  4. 貨物の到達地又は返送された地点で貨物を売却した場合には、運送人は、この売却代金を運送人自身及びその他の運送機関に対するすべての運賃、料金その他の費用及び売却費用に充当するものとする。ただし、貨物の売却によって荷送人は不足金額の支払の責任を免除されるものではない。また、残余金がある場合は、荷送人の指図があるまで保管するものとする。

第八章運送の範囲等

(出発地空港までの運送及び到達地空港以遠への運送)

第三十三条

  1. 貨物は、出発地における運送人の空港事務所(市内事務所を含む。)又は荷送人の指定する場所から到達地空港までの運送のために受託される。特に同意がある場合には、到達地空港から荷受人の住所までの運送のために受託される。

(貨物の集貨及び配達)

第三十四条

  1. 運送人は、貨物の集貨及び配達を、運賃表に定める運賃及び料金により提供することができる。
  2. 運送人に過失がなくて、第一回目の配達で荷受人に引渡しができなかった貨物は、運送人の事務所に持ち帰り、荷受人にこの旨を通知する。その後の配達については、荷受人より依頼のあった場合にのみこれを行い、配達のつど付加料金を収受するものとする。
  3. 個人(事業として又は事業のために運送契約の当事者となる者を対象とするものを除く。)を対象とした運賃及び料金は、主たる事務所その他の営業所において公示するものとする。

第九章適用法律及び規則並びに責任

(適用法律及び規則)

第三十五条

  1. 条約の適用を受けない貨物の運送の場合を除き、運送人が行う運送は、運送の中断又は積替えがあるかどうかを問わず、当該運送に適用される条約に定められた責任に関する規定および制限に従うものとする。
  2. 前項の規定に抵触しない限り、運送人が行うすべての運送又はそれに付随して運送人が行う業務は、次の各号に掲げる適用法律等に従うものとする。
    1. 適用法律(条約を履行するための国内法又は条約に定義された国際運送でない運送に条約の規定を適用させる国内法を含む。)及び政府の規則、命令又は要請
    2. 運送人のすべての事務所において閲覧に供されるこの約款、運賃表又は規則

(責任)

第三十六条

  1. 運送人の責任は、次項から第七項まで及び次条に定めるところによる。ただし、条約若しくはその他の適用法令に別段の定めがある場合において、次項から第七項まで及び次条の規定が、当該条約若しくはその他の適用法令の定めよりも運送人の責任を免除し、又は当該条約若しくはその他の適用法令で定める責任の限度よりも低い限度額を定めていることにより無効とされる場合を除く。
  2. 次項から第六項までに定める場合を除いて、貨物の運送又はそれに付随して運送人が行うその他の業務から生じ、又はこれらに関連して生ずる貨物の破壊、滅失若しくはき損による損害(以下「破壊等損害」という。)又は遅延による損害(以下「遅延損害」という。)については、運送人は、当該破壊等損害又は遅延損害の原因となった事故が航空運送中に生じたものである場合には、責任を負う。ただし、運送人は、自己が当該破壊等損害又は遅延損害を防止するために必要なすべての措置をとったこと又はとることが不可能であったことを証明した場合には、責任を負わない。
  3. モントリオール第四議定書の適用を受ける貨物の運送又はそれに付随して運送人が行うその他の業務から生じ、又はこれらに関連して生ずる遅延損害については、運送人は、当該遅延損害が航空運送中に生じたものである場合には、責任を負う。ただし、運送人は、運送人が当該遅延損害を防止するために必要なすべての措置をとったこと又はとることが不可能であったことを証明したときには、責任を負わない。
  4. モントリオール第四議定書の適用を受ける貨物の運送又はそれに付随して運送人が行うその他の業務から生じ、又はこれらに関連して生ずる貨物の破壊等損害については、運送人は、当該破壊等損害の原因となった事故が航空運送中に生じたものであることのみを条件として、責任を負う。ただし、運送人は、当該破壊等損害が次に掲げる原因の一又は二以上からのみ生じたものであることを証明した場合は、責任を免れる。
    1. 貨物の固有の欠陥又は性質
    2. 運送人以外の者によって行われた貨物の荷造りの欠陥
    3. 戦争行為又は武力紛争
    4. 貨物の輸入、輸出又は通過に関してとられた公的機関の措置
  5. モントリオール条約の適用を受ける貨物の運送又はそれに付随して運送人が行うその他の業務から生じ、又はこれらに関連して生ずる貨物の遅延損害については、運送人は、当該遅延損害が航空運送中に生じたものである場合には、責任を負う。ただし、運送人は、運送人が当該遅延損害を防止するために合理的に要求されるすべての措置をとったこと又はその措置をとることが不可能であったことを証明したときには、責任を負わない。
  6. モントリオール条約の適用を受ける貨物の運送又はそれに付随して運送人が行うその他の業務から生じ、又はこれらに関連して生ずる貨物の破壊等損害については、運送人は、当該破壊等損害の原因となった事故が航空運送中に生じたものであることのみを条件として、責任を負う。ただし、運送人は、当該破壊等損害が次に掲げる原因の一又は二以上からのみ生じたものであることを証明した場合は、その範囲内で責任を免れる。
    1. 貨物の固有の欠陥又は性質
    2. 運送人以外の者によって行われた貨物の荷造りの欠陥
    3. 戦争行為又は武力紛争
    4. 貨物の輸入、輸出又は通過に関してとられた公的機関の措置
  7. 荷送人及び荷受人は、いかなる場合においても自己の貨物が他の貨物又は運送人の財産に損害を与えた場合には、それにより運送人が被ったすべての損失及び費用を運送人に弁償するものとする。運送人は人員及び航空機その他の物に害を及ぼす恐れのある貨物を予告なしに廃棄し又は破壊することができ、かつ、そのためにはなんらの責任を負わない。

第三十七条

  1. 運送人の責任は、運送に対する申告価額が申告されたときは航空運送状に記載された荷送人の申告価額を限度とし、荷送人が申告価額の申告をしなかった場合には、損害を受けた貨物一キログラム当たり十九特別引出権を限度とする。ただし、ワルソー条約又は改正ワルソー条約の適用を受ける貨物運送の場合には、運送人が損害をもたらす意図をもって又は無謀にかつ損害が生ずるおそれがあることを知りながら行った行為(不作為を含む。)により損害が生じたことが証明されたときは、この限りでない。
  2. 前項の場合において、特別引出権建で示された額の各国通貨への換算は、訴訟のときには、最終口頭弁論終結の日に有効な換算率を適用し、訴訟以外の損害賠償のときには、支払うべき損害賠償額の確定した日に有効な換算率を適用する。
  3. 前二項の場合において、すべての損害賠償請求は価額の立証を条件とする。
  4. 荷受人その他貨物の引渡しを受ける資格のある者に貨物の一部のみが引き渡された場合又は貨物の一部に損害があった場合には、不渡又は損害のあった部分についての運送人の責任は、その貨物の部分又は内容品の価額にかかわらず、重量に基づく按分額を限度とする。この場合において、運送人の責任の限度となる額を決定するにあたり考慮する重量は、関係する荷の総重量のみとする。ただし、貨物の一部又はその貨物に含まれる物品の損害が、同一運送状に記載されている他の荷の価値に影響を及ぼす場合、責任の限度とする額を決定するにあたり、これらの他の荷の総重量も考慮する。

第三十八条

  1. 第三十六条及び前条第一項から第三項までの規定にかかわらず、損害が本邦における貨物の集貨又は配達中に発生したことが証明された場合は、運送人は、当該運送に強行的に適用される法令又は政府の定めた約款に従い責任を負う。

(損害賠償請求及び訴訟提起の期限)

第三十九条

  1. 物品の引渡しを受ける資格のある者が、苦情の申立てをすることなく貨物を受領した場合には、その貨物が良好な状態で引き渡され、かつ、運送契約に従って引き渡されたものと推定される。
  2. 貨物に破壊若しくはき損があった場合には、当該貨物の引渡しの日から十四日以内に、遅延があった場合には、当該貨物の引渡しを受ける権利を有する者がその貨物を処分することができた日から二十一日以内に、滅失又は紛失(引渡し不能の場合も含む。)があった場合には、航空運送状の発行の日から百二十日以内に、当該貨物の破壊、き損、滅失又は紛失が発生したおおよその日時及び賠償請求の明細を明確に記載した書面を運送人の事務所に提出しない限り運送人の責任は消滅する。ただし、運送人に悪意があった場合には、この限りではない。
  3. 運送人に対する損害に関する権利は、到達地への到着の日、航空機が到着すべきであった日又は運送の中止の日から起算して二年以内に訴訟を提起しなければ消滅するものとする。

(条約、強行法規等との抵触)

第四十条

  1. この約款又は航空運送状に定める規定が条約、強行法規、政府の規則、命令又は要求に反する場合には、これらと抵触しない限度において適用されるものとする。

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